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スワロウデイル

 編集工房SWALLOW-DALEのアーカイヴ準備室です。ときどき更新します。

平田信芳文庫

 平田信芳(1930年9月15日 - 2014年2月15日)の思い出に、
「平田信芳文庫」を開設しました。(2014年10月28日)

 

SWALLOW-DALE

 不定期刊小冊子『SWALLOW-DALE』をPDFで公開していく予定です。おもに鹿児島についてのテキストになります。忘れられている、忘れ去られている話題を取り上げていく予定です。時代遅れというか、時代とずれた話が続く予定です。

【2019年1月25日】『SWALLOW-DALE』別冊のPDFを公開しました。

 

my favorite things

 しばらく「20世紀書店」が続きます。ほかの世紀にもお邪魔します。

 

277. 1937年のアーサー・ランサム『海へ出るつもりじゃなかった』(2019年6月29日)

1937年のアーサー・ランサム『海へ出るつもりじゃなかった』見返しの地図

 

 《見返しに地図のある本 その3》

前回に引き続き、ランサム・サーガの、見返しの地図を並べてみます。

アーサー・ランサム(Arthur Ransome、1884~1967)のツバメ号とアマゾン号のシリーズは全部で12冊。
イギリスのジョナサン・ケープ(Jonathan Cape)から、1930年から1947年にかけて刊行されています。
その緑のクロス装本の見返しには、手書きの地図があるのが特徴でした。

アーサー・ランサムの『海へ出るつもりじゃなかった(WE DIDN'T MEAN TO GO TO SEA)』(初版は1937年11月、Jonathan Cape)は、シリーズ第7作。
ツバメ号の子どもたちが北海に漂流してしまい、イギリスからオランダまで渡る大冒険で、シリーズの「ごっこ」的基調から離れた、ほんとうに死の危険と背中合わせのストーリーになっています。
写真は、その北海横断航路を記した、見返しの地図です。
手もとにあるのは1939年11月の第7刷。

 

本の見返しに地図があるということは、そこで語られる冒険はすでに終わっていて、例えば「無事帰り着いた」というような何かしらの決着がついているということを含んでいて、読者を不幸のどん底に落とし込むような展開はないと、多くの小さな読者を用心させない、安心させるという役割もあったのかもしれません。

一方で、これは一種のネタばらしになっていて、これから何が起こるか分からないという物語の推進力を失わせる負の面もあって、純粋に文章からの想像力だけで読むことを楽しみたいという人からは敬遠されそうです。

地図を見返しに配するということは、繰り返し読むことに耐える本だという作り手の自負の表明という面もあるのではないかと思います。
そして、ちょくちょく道に迷いがちな読者にとって、空間的な想像力のガイド、導き手になってくれます。
それに、手書きの地図を多色石版や多色木版で刷ったものを見返しに貼ってある本には、今どきの本にない味があって良いです。