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スワロウデイル

 編集工房SWALLOW-DALEのアーカイヴ準備室です。ときどき更新します。

平田信芳文庫

 平田信芳(1930年9月15日 - 2014年2月15日)の思い出に、
「平田信芳文庫」を開設しました。(2014年10月28日)

 

SWALLOW-DALE

 不定期刊小冊子『SWALLOW-DALE』をPDFで公開していく予定です。おもに鹿児島についてのテキストになります。忘れられている、忘れ去られている話題を取り上げていく予定です。時代遅れというか、時代とずれた話が続く予定です。

【2017年12月14日】『SWALLOW-DALE 05』として『平田信芳選集II 石碑夜話』のPDFを公開しました。

 

my favorite things

 しばらく「20世紀書店」が続きます。ほかの世紀にもお邪魔します。

 

243. 1931年~1932年の『古東多万』の紙ひも綴じと糸綴じ(2018年8月31日)

1931年『古東多万』第1号

『古東多万』は、やぽんな書房(雅博拿書房)の五十澤二郎(いざわじろう、1903~1948)が、佐藤春夫(1892~1964)に思うままに編集してもらった文藝誌です。装幀も中川一政(1893~1991)が思うがままにやっています。

誌名の「古東多万」は言霊のことで、第2号では、辞書『言泉』の「ことだま 言霊」の釈義も引用しているのですが、「ことだま」と濁らず「ことたま」と読んだ方がふさわしい気がします。

昭和6年(1931)9月5日発行の第1年第1号から、昭和7年(1932)5月1日発行の第2年第5号まで続けて8号発刊され、昭和7年9月1日発行の別冊をもって休刊、計9冊が刊行されています。

目次を少しのぞいてみただけでも、泉鏡花、谷崎潤一郎、井伏鱒二、小林秀雄、久保田万太郎、森田草平、高田博厚、神代種亮、武者小路實篤、瀧井孝作、戸川秋骨、辰野隆、阿部次郎、矢野峰人、水上滝太郎、千家元麿、土岐善麿、平田禿木、宇野浩二、木村荘八、小林清親、武林夢想庵、吉井勇、里見弴、吹田順助、平井程一、竜胆寺雄、柳田国男、辻潤、阿藤伯海、魯迅、正宗白烏、高橋新吉、木下杢太郎、日夏耿之介、内田百閒、新村出、堀口大學、堀口九萬一、室生犀星、萩原朔太郎、…と錚々たる名前が並んでいますし、口絵の図版も中川一政の人脈でしょうか、小出楢重、石井柏亭、梅原竜三郎、硲伊之助、坂本繁二郎らの作品を掲載しています。しかしながら、女性の執筆者は阿部ツヤコしか見当たらず、男子校文藝っぷりが時代を感じさせます。

『古東多万』は、佐藤春夫の伝記的観点から掘り下げてみても、以士帖印社として『古東多万』誌に広告を掲載している秋朱之介(1903~1997)の視点から見ても、いろいろと発見のある内容の濃い雑誌なのですが、まず手にとって目につくのは、その本の綴じ方です。今どきの本の感覚からすると、異貌の作りです。今ふつうに本屋さんに入って、いろんな棚を見回しても、『古東多万』のような綴じの本を見ることはないと思います。
表紙や本文用紙に和紙を使っていて、2つの穴に紙ひもを通しただけの綴じですが、90年近くたった今も丈夫です。その綴じだけでも独自の存在のような気がします。

今回は、『古東多万』の内容ではなく、その綴じ方にしぼって、写真を並べてみたいと思います。